はじめに
プレゼン資料の作成で時間を取られるのは、たいていスライドの構成を考える段階だ。内容は頭の中にある。でも何枚目に何を置くか、どう流れを作るか——その設計だけで30分、1時間と過ぎていく。
Microsoft 365のCopilotは、その部分をそっくり引き受けてくれる。日本語でテーマを入力すると、PowerPointが数十秒でスライドの骨格を生成する。あとは内容を確認して、数字や用語を自社に合わせて直す。それだけで、たたき台が完成する。
この記事では以下の3点を扱う。
- PowerPointでCopilotを使う具体的な手順
- 使う前に確認すべき環境・ライセンスの条件
- AIに任せていい作業と、人間が必ず確認すべき作業の切り分け方
ただし、AIが作ったスライドをそのまま使えるかというと、そうではない。どこをCopilotに任せて、どこに自分の目を入れるか——その判断こそが、資料の質を左右する。
目次
- CopilotとPowerPointの連携とは?
- 使い始める前に確認すること
- CopilotでPowerPointを自動生成する手順
- Before→After:実際にどれだけ変わったか
- Copilotが得意なこと・苦手なこと
- よくある質問
- まとめ・次回予告
1. CopilotとPowerPointの連携とは?
Microsoft CopilotはOffice製品に組み込まれたAI機能で、WordやExcel、PowerPointから直接操作できる。ブラウザで別タブを開く必要はなく、PowerPointの画面内で指示を出して、そのまま結果を受け取る。
PowerPointとの連携で主にできることは4つある。テキスト入力だけでスライド構成を自動生成すること、既存のWordドキュメントやPDFからスライドを作ること、デザインテーマをまとめて変更すること、発表者ノートを自動で書くこと。
ChatGPTとの違いはシンプルで、コピー&ペーストが不要という点だ。生成された内容がそのままPowerPointのスライドとして出力されるため、貼り付け作業のロスがない。
2. 使い始める前に確認すること
Copilotを使うにはMicrosoft 365のサブスクリプションが必要で、Business StandardまたはBusiness Premium以上のプランが対象になる。加えてMicrosoft 365 Copilotのアドオンライセンス、もしくは対応プランへの加入が必要だ。インターネット接続も必須になる。
確認方法は簡単で、PowerPointを開いたときに画面上部のリボンにCopilotのアイコンが出ていれば使える状態だ。表示されていなければ、社内のIT管理者かMicrosoftのサポートページに問い合わせるのが早い。
個人向けのMicrosoft 365でも一部のCopilot機能が使えるようになっているので、まず手元のアカウントで試してみるといい。
3. CopilotでPowerPointを自動生成する手順
ステップ1 PowerPointを開いてCopilotを起動する
PowerPointを起動し、新規プレゼンテーションを作成する。リボンのCopilotボタンをクリックすると、画面右側にCopilotのパネルが開く。
ステップ2 プレゼンのテーマを入力する
パネルに、作りたいプレゼンの内容を日本語で入力する。
新入社員向けの業務効率化ツール紹介プレゼン。対象は20代の新人社員。
内容はSlack、Notion、Zoomの3つのツールの使い方と導入メリット。
スライド枚数は10枚程度でお願いします。
誰に向けて、何を伝えて、何枚にするか——この3点を入力に含めると、Copilotが意図に沿った構成を提案しやすくなる。
ステップ3 生成されたスライドを確認する
数十秒でスライドの骨格が生成される。タイトル、目次、各セクション、まとめスライドが自動で並ぶ。
ステップ4 内容を編集・修正する
生成されたスライドはあくまでたたき台だ。3点を必ず人間の目で確認する。数字やデータが正しいか(AIは古い情報や誤った数値を入れることがある)、自社や業界固有の用語に合っているか、そしてスライドの順番が聞き手に伝わる流れになっているか。
ステップ5 デザインを整える
Copilotにデザインの方向性を伝えると、テーマカラーやフォントをまとめて変更できる。PowerPointの通常のデザイン機能で手動調整してもいい。
4. Before→After:実際にどれだけ変わったか
Before(Copilotなし)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| スライド構成を考える | 30〜60分 |
| 各スライドの内容を入力 | 60〜90分 |
| デザインを整える | 30〜60分 |
| 合計 | 約2〜3時間 |
After(Copilotあり)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| Copilotへの指示入力 | 5分 |
| 自動生成の確認・修正 | 20〜30分 |
| デザイン調整 | 10分 |
| 合計 | 約35〜45分 |
骨格が完成するまでの時間が約3〜4分の1になる。浮いた時間を内容の精度を上げることや発表の練習に使えるのが、一番大きな変化だ。
5. Copilotが得意なこと・苦手なこと
Copilotが得意なのは、スライドの構成を素早く作ること、大量のテキストを要約してスライドにまとめること、デザインテーマの提案と一括変更、発表者ノートの生成だ。
一方で、自社独自のデータや最新情報はCopilotには入っていない。学習データの範囲外の内容は自分で補う必要がある。数値や統計は必ず一次情報で確認する。
聴衆の感情に響く言葉を選ぶのも、Copilotが苦手な領域だ。論理的な文章は作れても、その場の空気感や聞き手の状況を踏まえた表現は、人間が判断するしかない。プレゼンの間の取り方や、どこを強調するかの設計も同じで、AIに委ねる部分ではない。
Copilotは構成とデザインの下地を作るのが仕事で、伝え方の責任は発表者が持つ——この役割分担を前提に使うと、ツールとして機能する。
6. よくある質問
Microsoft 365を持っていないとCopilotは使えませんか?
基本的にはMicrosoft 365のサブスクリプションが必要だ。ただしWeb版のPowerPointでも一部のAI機能が使える場合があるので、公式サイトで最新の対応状況を確認してほしい。
日本語での指示はうまく認識されますか?
Copilotは日本語に対応している。指示が曖昧だと意図と違う構成になることがあるので、誰に・何を・何枚という3点を入力に含めると結果がまとまりやすい。
生成されたスライドのデザインが気に入らない場合は?
Copilotにシンプルなデザインにしてほしい、青系にしてほしいと追加指示を出すと変更できる。PowerPointの通常のデザイン機能で手動変更しても問題ない。
既存のWordファイルからスライドを作れますか?
できる。Copilotにそのファイルを元にプレゼンを作成してほしいと指示すると、文書の内容をスライドに変換してくれる。議事録や報告書をそのままスライド化したい場面で使いやすい。
セキュリティ面は大丈夫ですか?
Microsoft 365 Copilotは企業向けのセキュリティ基準に準拠している。社外秘の情報を入力する前に、社内のAI利用ポリシーを確認しておくことを勧める。
7. まとめ・次回予告
Copilotを使うと、スライドの骨格を作るまでの時間が大幅に短くなる。ただし、数字の正確性・自社用語への調整・伝え方の設計は人間が担う部分で、そこを省略すると資料の質が落ちる。AIに任せる範囲と自分が手を入れる範囲を最初に決めておくと、作業がスムーズに進む。
この記事はAIを使ったプレゼン資料作成の連載第1回だ。今後はChatGPT・Gemini・Claudeといったほかのツールを使った構成づくりや原稿作成、さらにはAIだけでは補えない「伝え方の質」をどう上げるかまでを順番に扱っていく。
次回予告:【AI×プレゼン第2回】ChatGPTでプレゼンの構成を自動生成する方法|ゼロから骨格を作るプロンプト術
CopilotはMicrosoft 365の環境が必要だが、ChatGPTはブラウザだけで使える。次回は、ChatGPTを使ったスライド構成の作り方と、そのまま使えるプロンプトの例を紹介する。
関連記事:


コメント