はじめに
プレゼンを作るとき、一番詰まるのは「最初の一枚」ではなく「全体の流れ」だ。何をどの順番で伝えれば相手に伝わるのか、その構成を考えるところで手が止まる。
ChatGPTは、その構成づくりを得意としている。ブラウザだけで使えて、Microsoft 365のライセンスも不要。テキストを入力すれば、スライドの骨格を数分で出してくれる。
この記事では以下の3点を扱う。
- ChatGPTでスライド構成を生成するための具体的なプロンプトの書き方
- 生成された構成を実際に使えるレベルに仕上げる修正の手順
- ChatGPTが得意な作業と、人間が判断を持つべき作業の境界線
前回の第1回ではCopilotを使ったPowerPointの自動生成を紹介した。CopilotがPowerPointに直接出力できる一方、ChatGPTはツールを選ばず構成を考える段階で幅広く使える。用途が少し異なるので、両方を把握しておくと便利だ。
目次
- ChatGPTをプレゼン構成に使うとはどういうことか
- 使い始める前に準備すること
- スライド構成を生成するプロンプトの書き方
- 生成された構成をPowerPointに落とし込む手順
- Before→After:構成づくりにかかる時間の変化
- ChatGPTが得意なこと・苦手なこと
- よくある質問
- まとめ・次回予告
1. ChatGPTをプレゼン構成に使うとはどういうことか
ChatGPTにスライドを作らせるのではなく、スライドの設計図を出させるというのがここでの使い方だ。
具体的には、発表のテーマ・対象・目的をChatGPTに伝えると、「1枚目はタイトル、2枚目は課題の提示、3枚目は…」という形でスライドの流れを提案してくれる。その構成をそのままPowerPointに転記するだけで、白紙のスライドを前に悩む時間がなくなる。
第1回で紹介したCopilotとの違いは、出力先がPowerPointに限定されない点だ。GoogleスライドでもKeynoteでも、どのツールで作る場合でも同じプロンプトが使える。
2. 使い始める前に準備すること
ChatGPTの利用にはアカウントの作成が必要だ。無料プランでも構成づくりには十分使えるが、GPT-4oを使える有料プラン(ChatGPT Plus、月額20ドル前後)のほうが出力の精度が上がる。
ブラウザからchat.openai.comにアクセスしてアカウントを作成すれば、すぐに使える状態になる。アプリのインストールは不要だ。
3. スライド構成を生成するプロンプトの書き方
基本の構造
ChatGPTへの指示で押さえておきたいのは4つの要素だ。
- 誰に向けたプレゼンか(対象)
- 何を伝えるか(テーマ・目的)
- 発表時間またはスライド枚数
- 発表後に相手にどう動いてほしいか(ゴール)
この4点を含めた指示を出すと、ChatGPTが構成を設計しやすくなる。
そのまま使えるプロンプト例
例1:社内向け提案プレゼン
以下の条件でプレゼンのスライド構成を作成してください。
対象:社内の管理職(10名程度)
テーマ:業務効率化ツールの導入提案
発表時間:15分(スライド12枚程度)
ゴール:ツール導入の承認を得る
各スライドのタイトルと、そのスライドで伝える内容を2〜3行で説明してください。
例2:顧客向けサービス紹介
以下の条件でプレゼンのスライド構成を作成してください。
対象:新規の法人顧客(IT部門の担当者)
テーマ:クラウドストレージサービスの紹介
発表時間:20分(スライド15枚程度)
ゴール:トライアル申し込みにつなげる
各スライドのタイトルと、そのスライドで伝えるべき要点を箇条書きで示してください。
構成を調整するための追加指示
最初の出力が意図と少し違う場合は、続けて指示を出せばいい。
- 「課題提示のスライドをもう少し具体的にしてください」
- 「競合との比較スライドを追加してください」
- 「結論を先に持ってくる構成に変えてください」
ChatGPTは会話の流れを引き継いでいるので、一から指示し直す必要はない。
4. 生成された構成をPowerPointに落とし込む手順
ChatGPTが出した構成は、テキストで返ってくる。それをPowerPointに転記する手順はシンプルだ。
- ChatGPTの出力をコピーする
- PowerPointで新規プレゼンテーションを作成する
- 各スライドのタイトルと要点を貼り付けながら、スライドを追加していく
- 内容の肉付けと数字・データの確認を行う
- デザインを整えて完成
第1回で紹介したCopilotと組み合わせることもできる。ChatGPTで構成を作り、その構成をCopilotに渡してPowerPointのスライドとして出力する——という流れにすると、両方のツールの強みを活かせる。
5. Before→After:構成づくりにかかる時間の変化
Before(ChatGPTなし)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| 全体の構成を考える | 30〜60分 |
| 各スライドの内容を決める | 30〜60分 |
| 合計 | 約1〜2時間 |
After(ChatGPTあり)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| プロンプトを入力する | 5〜10分 |
| 出力された構成を確認・調整する | 10〜20分 |
| 合計 | 約15〜30分 |
構成を考える段階だけで見ると、時間が約3〜4分の1になる。ただし、この時間短縮はあくまで骨格づくりの話だ。内容の精度を上げる作業や、数字・データの確認にかかる時間は別で確保する必要がある。
6. ChatGPTが得意なこと・苦手なこと
ChatGPTが得意なのは、テーマと条件を渡したときに論理的な流れを組み立てること、複数の構成パターンを比較提案すること、発表者ノートの下書きを作ることだ。
一方で苦手な領域がある。自社の内部情報や非公開のデータは持っていないため、具体的な数字や固有の事例は自分で補う必要がある。また、聴衆の温度感や社内の力学を踏まえた構成の判断はできない。「この順番だと上司が反応しにくい」といった現場の感覚は、人間が持ち込むしかない。
ChatGPTが出した構成を土台にしながら、自分の知っている情報と現場の文脈を上乗せする——この使い方が一番機能する。
7. よくある質問
無料プランでも使えますか?
使える。ただしGPT-3.5ベースの無料プランは、GPT-4oと比べると構成の精度や表現の幅が下がることがある。まず無料で試して、物足りなければ有料プランを検討するといい。
日本語で指示を出しても問題ありませんか?
問題ない。ChatGPTは日本語に対応しており、日本語で指示を出せば日本語で返ってくる。ただし指示が短すぎたり曖昧だったりすると、出力が抽象的になりやすい。対象・テーマ・枚数・ゴールの4点を入れると精度が上がる。
生成された構成をそのまま使っていいですか?
たたき台として使うのが前提だ。数字や固有名詞はChatGPTが作ったものをそのまま信用しないこと。社内のデータや実際の事例に差し替えた上で使う。
社外秘の情報を入力しても大丈夫ですか?
ChatGPTへの入力内容はOpenAIのサーバーに送信される。社外秘や個人情報を含む内容は入力しないほうがいい。社内のAI利用ポリシーを事前に確認しておくことを勧める。
CopilotとChatGPT、どちらを使えばいいですか?
Microsoft 365を使っている環境であればCopilotがPowerPointに直接出力できて手間が少ない。ChatGPTはツールを選ばず、構成を考える段階でより柔軟に使える。両方を試して、作業の流れに合うほうを選ぶといい。
8. まとめ・次回予告
ChatGPTを使うと、スライドの構成を考える作業が大きく短縮される。対象・テーマ・枚数・ゴールの4点を入れた指示を出すことが、精度の高い構成を得るための基本だ。生成された構成はあくまでたたき台で、自社の情報や現場の文脈を加えることで初めて使える資料になる。
この連載ではここまでCopilotとChatGPTを取り上げた。次回はGeminiを使って、既存のスライドをブラッシュアップする方法を紹介する。GoogleドキュメントやGmailとの連携を活かしながら、最新情報を資料に反映させる手順を扱う予定だ。
次回予告:【AI×プレゼン第3回】Geminiでプレゼン資料をブラッシュアップする方法|Google連携で情報収集も同時に
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