はじめに
プレゼン資料は「作った時点」で古くなり始める。競合情報、市場データ、業界トレンド——発表直前に数字を更新しようとして、調べ直す時間がなくなった経験はないだろうか。
GeminiはGoogleが開発したAIで、Google検索との連携を前提に設計されている。既存のスライドに対して「この内容に関連する最新情報を補足してほしい」と指示すると、Web上の情報を参照しながら提案を返してくれる。ChatGPTやCopilotとは、この点で使い方が少し異なる。
この記事では以下の3点を扱う。
- GeminiをGoogle Workspace(スライド・ドキュメント)と連携させる手順
- 既存のプレゼン資料をGeminiでブラッシュアップする具体的な方法
- Geminiが得意な作業と、人間が判断を持つべき作業の境界線
第1回のCopilot、第2回のChatGPTと合わせて読むと、どのツールをどの場面で使うかの判断がしやすくなる。
目次
- GeminiとGoogle Workspaceの連携とは
- 使い始める前に準備すること
- Geminiでプレゼン資料をブラッシュアップする手順
- Google検索連携を活かした情報収集の方法
- Before→After:資料の質がどう変わったか
- Geminiが得意なこと・苦手なこと
- よくある質問
- まとめ・次回予告
1. GeminiとGoogle Workspaceの連携とは
GeminiはGoogleアカウントがあれば使えるAIで、GmailやGoogleドキュメント、Googleスライドと直接連携できる。
特徴的なのはGoogle検索との統合だ。ChatGPTは学習データの範囲内で回答を生成するが、GeminiはWeb上の情報をリアルタイムで参照できる。プレゼン資料に最新の市場データや業界ニュースを反映させたいとき、この差が出てくる。
Googleスライドで使う場合は、スライド画面の右側にGeminiのパネルが表示される。Copilotと同じくアプリの中で完結するため、コピー&ペーストの手間がない。
2. 使い始める前に準備すること
GeminiはGoogleアカウントがあれば無料で使える部分もあるが、Google Workspaceとの連携機能(Gemini for Google Workspace)はビジネスプランへの加入が必要になる場合がある。個人のGoogleアカウントで使う場合はgemini.google.comからアクセスするのが手軽だ。
Googleスライドとの連携機能を使いたい場合は、Google Workspace Business StandardまたはPlus以上のプランを確認しておく。会社のGoogleアカウントを使っている場合は、管理者に確認するのが確実だ。
3. Geminiでプレゼン資料をブラッシュアップする手順
ステップ1 既存のスライドをGeminiに渡す
Googleスライドを開き、右側のGeminiパネルを起動する。「このプレゼンの内容を確認して、改善点を提案してください」と入力すると、スライド全体を読み込んで提案を返してくれる。
gemini.google.comを使う場合は、スライドの内容をテキストとして貼り付けるか、Googleドライブのリンクを共有する形で渡す。
ステップ2 改善の方向を指定する
「改善してください」だけでは出力が曖昧になりやすい。何をどう変えたいかを具体的に伝えると精度が上がる。
指示の例をいくつか示す。
このスライドの課題提示セクションが弱い。
聴衆が「自分ごと」として捉えやすい表現に変えてほしい。
3枚目のデータスライドに、2025年以降の最新の市場規模データを
補足してほしい。出典も示すこと。
全体的に文字が多い。各スライドの要点を箇条書き3点以内に
絞った版を提案してほしい。
ステップ3 提案を取捨選択して反映する
Geminiの提案をすべて採用する必要はない。出てきた案の中から、実際の発表シーンに合うものを選んでスライドに反映する。
特に最新情報を補足してもらった場合は、出典を必ず確認すること。Geminiが示したデータが正確かどうか、一次情報に当たって裏付けを取る習慣が必要だ。
ステップ4 発表者ノートをブラッシュアップする
スライドの内容が固まったら、発表者ノートの整備にもGeminiを使える。
このスライドの発表者ノートを書いてほしい。
話す時間は1分程度、口語調で、聴衆への問いかけを1つ含めること。
こうした指示を各スライドに対して出すと、発表の流れを作る作業も短縮できる。
4. Google検索連携を活かした情報収集の方法
Geminiを使う場面でもう一つ有効なのが、プレゼンに必要な情報をまとめて調べさせることだ。
たとえばこういった使い方ができる。
2026年の国内SaaS市場の規模と成長率について、
信頼性の高い情報源をもとに要約してほしい。
プレゼンのスライド1枚分に使えるデータをまとめること。
ChatGPTで構成を作り(第2回)、Geminiで最新情報を補足し、Copilotでデザインを整える(第1回)——この3ツールの流れを組み合わせると、それぞれの強みを活かした作業分担ができる。
5. Before→After:資料の質がどう変わったか
Before(Geminiなし)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| 最新情報を自分で検索・整理する | 30〜60分 |
| スライドの表現を見直す | 20〜40分 |
| 発表者ノートを書く | 20〜30分 |
| 合計 | 約70〜130分 |
After(Geminiあり)
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| Geminiへの指示入力と確認 | 10〜20分 |
| 提案の取捨選択と反映 | 15〜25分 |
| 出典の確認 | 10〜15分 |
| 合計 | 約35〜60分 |
時間の短縮に加えて、「調べようと思っていたけど手が回らなかった」情報を拾いやすくなるのが実際のところ大きい。
6. Geminiが得意なこと・苦手なこと
Geminiが得意なのは、Web上の最新情報を参照しながら内容を補足すること、既存のテキストを読み込んで改善案を提案すること、Googleのサービスとシームレスに連携することだ。
苦手な領域もある。社内の非公開データや自社特有の文脈はGeminiには入っていない。また、提示してくる情報が常に正確とは限らないため、数字や事実関係は一次情報で確認する必要がある。
聴衆の反応を読んだ構成の判断や、発表者のキャラクターに合った言葉選びはAIには難しい。資料としての「型」はGeminiが整えられるが、「誰が、誰に向けて、どう話すか」の設計は発表者が持つ部分だ。
7. よくある質問
個人のGoogleアカウントでも使えますか?
gemini.google.comにアクセスすれば、個人アカウントでも使える。Googleスライドとの直接連携はGoogle Workspaceのプランが必要になる場合があるが、テキストを貼り付けて使う方法であれば無料で試せる。
ChatGPTと何が違うのですか?
最大の違いはWeb検索との連携だ。ChatGPTは学習データの範囲内で回答を生成するが、GeminiはGoogle検索を通じて最新の情報を参照できる。プレゼンに最新データを反映させたい場面ではGeminiが使いやすい。
Geminiが提示したデータはそのまま使えますか?
そのまま使わないほうがいい。Geminiが示す情報も誤りを含む場合がある。特に数字や統計は、示された出典を自分で確認してから資料に載せること。
日本語のプレゼンに使えますか?
使える。日本語で指示を出せば日本語で返ってくる。ただし英語圏の情報に比べると日本語の情報量が少ないケースがあり、最新の国内データを調べる際は結果の精度にばらつきが出ることがある。
GeminiとCopilot、どちらをメインに使えばいいですか?
Microsoft 365を使っている職場ならCopilotが使いやすい。GoogleドキュメントやGoogleスライドを使っている職場ならGeminiが連携しやすい。最新情報を資料に反映させたいシーンではGeminiの検索連携が有効に働く。
8. まとめ・次回予告
Geminiの強みは、既存の資料に最新情報を補足できることと、Googleサービスとの連携がスムーズな点だ。ChatGPTで構成を作り、Geminiで情報を補足し、Copilotでデザインを整える——この流れで3つのツールを使い分けると、それぞれの弱点を補い合える。
ただし、Geminiが提示するデータの正確性は必ず自分で確認すること。ツールが出した情報をそのまま資料に載せるのではなく、一次情報に当たる習慣が、資料の信頼性を保つ。
この連載ではここまでCopilot・ChatGPT・Geminiの3つを取り上げた。次回は少し視点を変えて、AIが作った資料を「伝わるプレゼン」に仕上げるために人間の判断をどう加えるかを扱う。ツールの使い方ではなく、AIと人間の役割分担そのものがテーマになる。
次回予告:【AI×プレゼン第4回】AIに原稿を書かせるだけでは足りない|人間の判断で「伝わるプレゼン」に仕上げる方法
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